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お知らせ

英Drax社と木質ペレット海上輸送の温室効果ガス軽減に向けてパートナーシップを強化

大手再生可能エネルギー企業のDrax Group(CEO:ウィル・ガーディナー、本社:英国ノースヨークシャー州、以下「Drax社」)と商船三井ドライバルク株式会社(社長:菊地和彦、本社:東京都港区、以下「商船三井ドライバルク」)は協力して、温室効果ガスの排出量と燃料コストのおよそ5分の1を削減できる風力推進技術を利用し、バイオマス燃料の持続可能性を高めることに取り組んで参ります。

木質ペレットは、天候条件に左右されにくい再生可能エネルギー源として日本での需要が高まっています。両社は、Drax社が製造する木質ペレットを、より環境負荷の少ない形で日本の顧客に輸送するために、このたび風力推進技術を搭載したドライバルク船の共同検討に関する覚書を締結しました。新造船には商船三井のウインドチャレンジャー硬翼帆技術が搭載される予定で、2025年頃の就航を目指します。

Drax社はバイオエネルギーとCO 2回収・貯留技術を利用するBECCS技術の導入により2030年までにカーボンネガティブなエネルギー企業になるという意欲的な目標を掲げており、本件パートナーシップはその計画に沿って、サプライチェーンからの排出量を削減するための取り組みの一環となります。

今回の覚書に基づき、両社はDrax社のバイオマスを運ぶための、第1世代および第2世代の環境対応型ばら積船 (EFBC) の実用化を検討します。

第1世代のEFBCでは、商船三井のウインドチャレンジャー 硬翼帆を使用し、ローターセイルなどの他の技術の併用を検討します。また、第2世代のEFBCでは、複数のウインドチャレンジャー硬翼帆の搭載を可能とする新設計やその他の環境技術を導入し、さらにアンモニア、液化天然ガス、メタネーションによる合成燃料などの代替燃料を使用することで、温室効果ガスの排出量を半減またはそれ以上に削減することを目指します。

商船三井ドライバルクは、導入する各種技術の検討や、造船所との連携を進めます。Drax社は、サプライチェーンの港湾や関係者と協力して、実運用に向けての検討調査を実施します。

今回の商船三井ドライバルクとの覚書締結は、Drax社がこれまでSmart Green Shipping Allianceと行ってきた、米国から英国へバイオマスを輸送する船舶に革新的な帆の技術を適用する可能性を検討する共同研究を踏襲するものです。

【今回の覚書に関するコメント】
Drax 社のCEO、ウィル・ガーディナーは以下のようにコメントしました。

Drax社のCEO ウィル・ガーディナー氏

「温室効果ガスの排出量と燃料費を大幅に削減し、環境破壊を食い止めようとする商船三井ドライバルクの風力推進技術は、海運業界に大きな変革をもたらす可能性があります。」
「このパートナーシップを通じて当社はこの重要な新技術の発展を積極的に支援して参ります。この新技術は、自社のサプライチェーン排出量を削減するというDrax社の取り組みに貢献するものであり、さらには、世界中の顧客に商品を運ぶために海上輸送に依存しているさまざまな業界においてポジティブな影響を与える可能性があります。」

商船三井ドライバルク代表取締役社長の菊地和彦は以下のようにコメントしました。

商船三井ドライバルク代表取締役社長 菊地和彦

「商船三井は10年以上にわたり、パートナーと協力してウインドチャレンジャー技術の開発に取り組んできており、この技術がようやく実用化されつつあることは素晴らしいことです。この技術を契機に、Drax社のような革新的な企業とのパートナーシップを強化できる事は非常に光栄であり、ウインドチャンレンジャーを含めた新しい技術の導入に向けて協力し、木質ペレットやその他の貨物の海上輸送の環境負荷の一段の軽減に繋げて行けることを大いに楽しみにしています。」

編集者注記:

  • 海運は世界経済の屋台骨であり、世界の貿易量の約90%を輸送している。この部門は年間約9億4000万トンの二酸化炭素を排出しており、これは世界の総二酸化炭素排出量の約2.5%に相当します。
  • Draxは、2012年から化石燃料由来の排出量を95%以上削減しており、残りの排出量についてもサプライチェーンを含めて削減を進めていきます。
  • Draxは自社のサプライチェーンの排出量を年次報告書で報告しており、この年次報告書は独立した監査を受けています。
  • Draxのバイオマスは、持続可能な方法で管理された森林から供給されている。これには、製材残渣や間伐材だけでなく、建設や家具など他の部門での製造活動後に残される残渣も含まれます。
  • 商船三井ドライバルクは、株式会社商船三井の100%子会社です。
  • 商船三井は、2050年までにネットゼロ・エミッションを達成する計画を掲げています。

Drax社について
Drax社のパーパスはゼロカーボン、低コストエネルギーの未来を実現することであり、2019年にはバイオエネルギーと炭素回収・貯蔵 (BECCS) 技術を用いて、2030年までにカーボンネガティブを達成するという世界トップレベルの目標を表明しました。
Drax社の約3,000人の従業員は、発電、法人顧客への電力販売、および木質ペレットの製造と第三者への供給という3つの主要な活動分野に従事しています。詳細については、www.drax.comを参照してください。

発電事業:
Drax社はイングランドとスコットランドで再生可能エネルギーによる発電施設を保有・運営しています。その施設の中には、ノースヨークシャー州セルビーにある、英国の電力需要の5%を供給している英国最大のDrax発電所も含まれています。
Drax発電所は石炭火力から持続可能なバイオマス専焼に転換したことで、英国最大の再生可能エネルギー発電事業者、かつ、欧州最大の脱炭素化プロジェクトとなりました。また、英国政府のCCUS (Carbon Capture Utilisation and Storage) 開発優先地域内で画期的なマイナスCO2排出技術BECCSのパイロット事業を行っている場所でもあります。
スコットランドでは揚水発電、水力発電、廃棄物からの発電を手掛けており、その中には、ベン・クルアチャン山の空洞を活かしたクルアチャン揚水発電所が含まれています。
また、Drax発電所での革新的なBECCS技術をベースに、2030年までに英国以外の新規BECCSで年間400万トンのマイナスCO 2排出量を達成することを目標に、北米および欧州市場向けの事業モデル開発を進めています。

木質ペレット事業:
Drax社は、現在17基のペレットプラントを保有または開発しており、生産能力は年間460万トンで、開発完了後には約500万トンまでに増加する予定です。
Drax社は2030年までに生産能力800万トンを目標としており、新たに300万トン以上のバイオマスペレット生産能力を開発する必要があります。このペレットは、持続可能な方法で管理された森林から調達された原料を使用して製造され、再生可能エネルギー源として欧州やアジアの第三者の顧客に供給されています。
Drax社のペレットプラントは、英国ノースヨークシャー州にある自社発電所で使用されるバイオマス燃料の約30%を供給し、英国の家庭および企業、並びに欧州やアジアの顧客向けに柔軟で再生可能な電力を供給しています。

顧客:
Drax社は、英国企業への再生可能エネルギー電力の最大供給企業であり、Drax社およびOpus Energy社を通じて37万以上の事業所に100%の再生可能エネルギー電力を供給するとともに、エネルギー最適化、電気自動車の管理など、エネルギー関連のさまざまなサービスを提供しています。
詳細については、Webサイトwww.energy.drax.comを参照してください。

商船三井ドライバルク社について
商船三井ドライバルクは載貨重量が1万トンから10万トンまでのばら積み船、木材チップ船、多目的船等、多様な船型・船種、合計約200隻を運航する事業体として、多岐におよぶお客様への「ワンストップサービス」を開始すると共に、脱炭素、GHG削減等、サプライチェーン上での環境負荷低減に向けた多様なニーズ・課題と向き合い、お客様と共に考え、輸送面での環境ソリューションを提供して参ります。

商船三井グループ環境ビジョン並びに技術スローガン
商船三井は2021年6月に制定した「商船三井グループ環境ビジョン2.1」に基づき、グループの総力を挙げて、「2050年までのネットゼロ・エミッション」の実現に取り組むことを明確にしています。ウインドチャレンジャーやローターセイルのような省エネ技術の活用等による自社からのGHG排出削減に加え、社会のGHG排出削減にも貢献します。

商船三井は本年4月、新たな技術スローガン「One mile ahead」を制定しました。「荒天時の航海のように荒波に揉まれようとも目標地点を目指しながら”1マイル”ずつ着実に前進していく」、また「業界のリーディングカンパニーとして常に”1マイル”先の技術を目指していく」、という当社グループの意志を示したものです。

【ウインドチャレンジャーに関し】

伸縮可能な帆(硬翼帆)によって、風力エネルギーを推進力に変換する装置で、本装置を船舶に搭載することにより、航行燃料の削減が可能となるため、環境負荷の低減と経済性の向上に寄与する。2009年に東京大学が主宰する産学共同研究プロジェクト「ウインドチャレンジャー計画」が前身。2018年1月からは、商船三井と大島造船所が中心となり、産学共同研究を引き継ぐ形で、「ウインドチャレンジャープロジェクト」を発足。2019年10月には、設計に関する基本承認(AIP:Approval in Principle)を取得。
ウインドチャレンジャー搭載第1船として、東北電力向け99,000DWT型専用船の2022年秋の運航開始に向けて大島造船所での建造を発注済みであり、5~8%のGHG削減を見込んでおります。

YouTube:
https://youtu.be/yXbvG6VrwNc
https://www.youtube.com/watch?v=TzMY2FFogzQ

大島造船所でのウインドチャレンジャー硬翼帆製造の様子

ウインドチャレンジャー搭載船(イメージ)

Drax社とのEFBC第1世代(ウインドチャレンジャー+ローターセール)、第2世代(複数のウインドチャレンジャー硬翼帆)のイメージ

【本件に関するお問い合わせ先】
Drax社
Media Manager Ms.Selina Williams
Mail:selina.williams@drax.com
Tel:+44(0)7912 230 393

商船三井ドライバルク株式会社
経営企画部 ICTコミュニケーションチーム Mail : dbict@moldgroup.com