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米国エンビバ社と木質ペレット海上輸送に於ける温室効果ガス排出削減に向け、環境負荷の少ないばら積み船の導入で合意

商船三井ドライバルク株式会社(社長:菊地和彦、本社:東京都港区、以下「商船三井ドライバルク」)とEnviva Inc.社(註1)(CEO:ジョン・ケプラー、本社:米国メリーランド州、以下「エンビバ社」)は、持続可能な木質ペレットの海上輸送に於ける温室効果ガス (以下 「GHG」 ) 排出削減を目的とした、環境負荷の少ないばら積み船(以下「EFBC」)の導入に関する追加覚書を締結しました。両社による共同研究を経て2024年に大島造船所にて竣工予定のEFBC(載貨重量62,900㌧)では、株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)が手掛ける 「ウインドチャレンジャー(註2)」に加え、英国のAnemoi Marine Technologies Ltd.が開発する同じく風力を活用した推進補助装置「Rotor Sail」(以下「ローターセイル」)(註3)の併用を検討しており、平均約20%のGHG削減を見込んでいます。

調印式にて(左からエンビバ社チーフ・コマーシャル・オフィサー Thomas氏、当社代表取締役社長 菊地和彦)

エンビバ社と商船三井は2016年以降、大西洋水域での木質ペレットの輸送契約を通じ、海上輸送での安全性や効率化の向上に関し協議を重ねてきました。近年、サプライチェーンでの環境負荷への注目が高まるなか、これまでの取り引きで培われた信頼関係を基礎に、環境対応船を通じた海上輸送でのGHG排出削減という共通目標を実現すべく、2021年3月にEFBCの実現を目的としたパートナーシップを締結(註4)し、共同でEFBCの技術・可能性の検討・評価を実施してきました。今般、共同研究の段階を完了し実際にEFBCを導入する事で合意したものです。

エンビバ社は木質バイオマスエネルギーの世界的な大手企業です。同社が製造する木質ペレットは天候要因に左右されない、出力の調整が可能な再生可能エネルギーとして注目が高まっています。同社は昨年2月17日付でClimate Action Planを発表し、2030年までに操業からのGHG排出ネット・ゼロを宣言するとともに、サプライチェーン全体に関わる排出量の削減に向けて革新的な改善を図るべく、サプライチェーンに関わるパートナーと協働しソリューションを取り入れる、と発表しています。

また商船三井は2021年6月に制定した「商船三井グループ環境ビジョン2.1」に基づき、グループの総力を挙げて、「2050年までのネットゼロ・エミッション」の実現に取り組むことを明確にしています。ウインドチャレンジャーやローターセイルのような省エネ技術の活用等による自社からのGHG排出削減に加え、社会のGHG排出削減にも貢献します。

商船三井ドライバルクは載貨重量が1万トンから10万トンまでのばら積み船、木材チップ船、多目的船等、多様な船型・船種、合計約200隻を運航する事業体として、多岐におよぶお客様への「ワンストップサービス」を開始すると共に、脱炭素、GHG削減等、サプライチェーン上での環境負荷低減に向けた多様なニーズ・課題と向き合い、お客様と共に考え、輸送面での環境ソリューションを提供して参ります。

イメージ図

(註1)エンビバ(Enviva Inc.)社について
エンビバ社(NYSE:EVA)は、天然資源である木質繊維を集荷し、運搬可能な木質ペレットに加工する上場企業です。エンビバ社はその木質ペレットの大部分を、英国、EU、日本の信用力のある顧客との長期のテイク・オア・ペイのオフテイク契約を通じて販売しています。エンビバ社はバージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ジョージア州、フロリダ州およびミシシッピ州において、合計で年間約620万トンの生産能力を有する10の工場を保有、運営しています。エンビバ社はこの他にも、バージニア州チェサピーク港、ノースカロライナ州ウィルミントン港、ミシシッピ州パスカグーラ港の出荷施設、並びにジョージア州サバンナ、アラバマ州モービル、フロリダ州パナマシティにある他社保有の出荷施設を経由して木質ペレットを輸出しています。エンビバ社ついて、詳しくはこちらのウェブサイト www.envivabiomass.com をご覧ください。また、ソーシャルメディア@Envivaをフォローしてください。

(註2)ウインドチャレンジャーについて
コンセプト動画:https://youtu.be/OuDP-Flmemk
伸縮可能な帆(硬翼帆)によって、風力エネルギーを推進力に変換する装置で、本装置を船舶に搭載することにより、航行燃料の削減が可能となるため、環境負荷の低減と経済性の向上に寄与する。2009年に東京大学が主宰する産学共同研究プロジェクト「ウインドチャレンジャー計画」が前身。2018年1月からは、商船三井と大島造船所が中心となり、産学共同研究を引き継ぐ形で、「ウインドチャレンジャープロジェクト」を発足。2019年10月には、設計に関する基本承認(AIP:Approval in Principle)を取得。(プロジェクトメンバーほか詳細については、2019年10月3日付プレスリリース「ウインドチャレンジャーが設計基本承認を取得~温室効果ガス削減を狙い「帆」をもつ大型商船実現へ~」参照。)
ウインドチャレンジャー搭載第1船として、東北電力向け石炭専用船の2022年の運航開始に向けて大島造船所での建造を発注済みであり、5~8%のGHG削減を見込んでおります。(2020年12月10日付プレスリリース「硬翼帆式風力推進装置(ウインドチャレンジャー)搭載石炭船による輸送契約の締結について~世界初の「帆」を搭載した石炭船の導入により、環境負荷低減と経済性の両立を目指す~」及び2022年2月1日付プレスリリース「風を船の推進力として活用する「ウインドチャレンジャープロジェクト」硬翼帆完成 ~大型船への搭載に向けて作業開始~ | 商船三井 (mol.co.jp)」参照)。

(註3)
ローターセイルについて
ローターセイルは、航行中 回転している筒状のローターに風が吹き込み、ローター周りに圧力差が生じることで推進力を得ます。この推力は風向に対して直角に発生するため、ローターの回転方向を変えることによって、船首尾方向以外からの風を船舶の推力に活かすことができます。

(註4)エンビバ社との環境負荷の少ないばら積み船の実現を目的としたパートナーシップについて
2021年3月30日付プレスリリース「米国エンビバ社と商船三井が提携し、木質ペレット海上輸送の地球温暖化ガス排出削減に向けてウインドチャレンジャー等の技術導入を検討 | 商船三井 (mol.co.jp)」参照。

【本件に関するお問い合わせ先】
商船三井ドライバルク株式会社
経営企画部 ICTコミュニケーションチーム Mail : dbict@molgroup.com